2013年5月25日土曜日

冬から春、そして夏・・・

修了生の鈴木です。

現在は、去年度に引き続き湯沢町保健医療センターで勤務しています。

去年度の4月から湯沢町で生活し始め、その自然豊かな風土に癒され、四季折々に変化する景色に魅了されっぱなしの1年でした。

最後まで営業していたスキー場も今週末で終了し、長かった冬に終止符が打たれます。

春の訪れを感じさせる桜は一瞬で散ってちまい、今はカエルの大合唱に春を感じている次第であります。

この時期は美味しい山菜が沢山採れます。
去年は新鮮であった味が、今は懐かしく思えるのは、この地で季節が一巡したことを感じさせます。

山菜も美味しいですが、間違いなく美味しいのはお米!!

これから秋にかけて成長していく稲苗を眺めながら、
私も皆様と共に実りある日々を過ごせればいいなと思う今日この頃です・・・
2013/2/12

2013/5/23
黄色い建物が湯沢町保健医療センターです


2013年5月18日土曜日

第4回プライマリケア学会

修了生の横田修一です。
仙台で開催された第4回プライマリケア学会に参加してきました。
この学会は地域の現場で頑張っている医療スタッフが、日常診療での取り組みや、業務上生じた疑問を調査した結果などを持ち寄って発表する学会です。
 私もできるだけ自分の取り組みを発表して地域での取り組みを情報発信するようにしていますが、これには2年前の学会で後輩が大会長から表彰を受けていたことに刺激された自分がいます。今回の発表テーマは救命センターで研修していた時に生じた高齢者の3次救急搬送の現状について調査した結果を発表しました。今回の発表を通じて思ったことは、自分が急変した時にどのような対応をしてもらいたいかということを元気なうちから考えて、親しい家族と共有しておくことが大切だなと思いました。地震の時の避難訓練とか、自分らしい生き方と死に方とかそんなことを考える時間があってもいいのかなと思っています。
  でも一方で、高齢者でも適切な対応がされたCPA患者が蘇生し社会復帰したケースもあって、私たちの役割はBLSの知識・技能の習得して、その知識や技術、そして治療の限界を住民さんや医療スタッフに伝えていくことも大切だなと感じました。さっそく自分の担当する地域で取り組みを始めていきたいと思います。
 発表の時にうれしかったこと、発表が終わるとフロアーから拍手がでたこと(今までの学会では拍手を受けたことがあまりなかった・・・)、同じプログラムで研修してきた仲間や後輩が発表を聞きに来てくれたこと、そして指導医の先生が忙しい中会場に駆けつけて見守ってくれたこと。

 発表が終わって外にでると青葉、広瀬川に映える夕日がきれいでした。
 仙台といえば、牛タン、笹かまぼこ、ずんだもち、萩の月しっかり舌鼓をうってきました。
 ちょっと食べすぎたかな・・・
 

2013年5月12日日曜日

むちゃぶり学生実習

S2の田中です。
現在は揖斐郡北西部地域医療センター(久瀬診療所)で研修しています。



久瀬診療所には「むちゃぶり実習」というお家芸があります。研修医や学生を患者宅に「おきざり(数時間〜半日滞在させる)」にしたり「お泊り(一泊させる)」させることで、患者さんやご家族の思い・関係性・背景を理解し、より近づいてもらおうという試みです。かつて中国の活動家 James Yen は "Go to the People" といいましたが、まさにそんな実習です。最初はビックリしましたが、案外患者さんのほうが慣れており喜んでくださいます。

今回は1つ、最近のエピソードを紹介します。

105歳で慢性心不全のあるおばあちゃんに重度の貧血がみつかりました。「もう歳やから…」と、精査はしませんでした。心不全は当然悪化し、動けず食事もとれなくなり、意識が混濁してきました。往診時は撓骨動脈が触れず、あと数時間かな、どうしようかなと思っていたところ…

「そんなら学生さんを置いてけばいいんじゃないですか?」

と、同行した看護師から一言。僕はその提案に躊躇することなく賛成しました。

僕は研修医のとき『地域包括ケアセンター いぶき』で地域研修をして、在宅での看取りを経験しました。患者さんが亡くなったその瞬間、最後に大きく一呼吸をした瞬間は今でも記憶に鮮明に残っています。その経験が家庭医への道へと、僕の背中を押してくれました。

後々振り返りをしていて気づいたのですが、心のどこかで僕は、そんな経験を後輩や学生にも届けたい、プロデュースしたいと思っていたんですね。だから躊躇なく賛成できたんだと思います。こうした「むちゃぶり」を許容する久瀬の文化・土壌が、僕を後押ししてくれました。

こうして学生を「おきざり」にしたわけですが、他の患者さんを往診している間に何度か電話がかかってきました。「呼吸が弱くなっているんですけど…」「脈が触れにくくなってるんですけど…」天寿を全うしようとしている患者さんを目の前に、初めて経験する死を目の前にさぞ不安だったと思います。

でも、ここで僕が出ていってはいけないんです。
医者である僕がしゃしゃり出てしまうと、この経験が台無しになってしまいます。

患者さんは数時間後に亡くなりました。他の患者さんの往診を終えたあとに、学生、そして近所に住む方々が見守る中でお看取りをさせていただきました。大往生でした。

実習最終日に「まだうまくまとまってないんですけど…」と涙をこぼしながら発表する学生の姿をみて、これでよかったんだと思いました。今回のエピソードは事前に計画されたものではありませんでしたが、これを続け、広めていくことが大事だということは僕にとって確信になりました。

こうしたむちゃぶりの伝道師に、私もなりたい。
そう思った1日でした。

2013年5月10日金曜日

指導医のサイトビジット報告(東海編)

湯沢町保健医療センターの井上です。

指導医のサイトビジット報告、第2弾です。実は5月1日に行ってきたのですが、連休等がはさまってばたばたしたためおそくなりました。

今回は茨城県の東海村にある村立東海病院にでかけてきました。
4月にレジデントの佐々木先生が書き込まれていた病院です。佐々木先生の整形外科研修の様子を聞きに行ってきました。
東海村に行くには上野から特急スーパーひたちで約1時間半。東海駅にとまるひたちもあるのですが、今回は東海駅にとまらない列車だったので、水戸で各駅停車に乗り換えました。スーパーひたちも新しい車両にかわっていて、乗り心地がさらによくなったようにおもいました。
新しい車両になったスーパーひたちです
村立東海病院に行くのは私は初めてではありません。以前に外来の診療のお手伝いに行った事がありました。いつも思うのは東海村の道路の広さです。液からの道路は片側2車線の広~い道路です。まあ村といっても人口は3万7千人もあるそうですので、行政単位としては村より上の湯沢町のなんと4.5倍の人口がです。平地である事、原発があり町に余裕があることなどから道路が広いのかなと思っています。
駅前の広い道。これを真っ直ぐ行くと病院です。
東海病院です
病院も非常にきれいな病院で、先日の佐々木先生の書き込みには病院の玄関の人形のオブジェの写真がありましたが、院内にもちょっと芸術的なサインやオブジェがあります。



院内の吹き抜けの壁にもアートが・・・
佐々木先生の研修の現状について、いろいろとお話を聞いていたのですが、非常に充実した整形研修をされているなあと感じました。将来自分が診療所に戻ったときにどうすればいいか?ということを頭に置きながら日々学んでおられる事がすばらしいと思いました。また指導医の豊田先生、土居先生がそのニーズを良く理解されて指導されているところもすばらしいと思いました。

村立東海病院の管理者の海老根先生は私の初期研修の時の2年先輩にあたります。私がついた初めてのオーベンで、右も左もわからない初めてのときに手取り足取り教えていただいた事を思い出し、その頃の話で盛り上がりました。

いろいろなつながりを感じる事ができたサイトビジットでした。
それでは、また出かけたらご報告いたします。

2013年5月9日木曜日

4月、アツカッタ論文 by Evidence UPDATES


菅波です。

最近、Evidence UPDATES(http://plus.mcmaster.ca/EvidenceUpdates/Default.aspx)に登録したんですが、
登録者の閲覧頻度の高い論文 ベスト10 in 4月が届きました。
ベスト5までシェアします。



1位
Katz JN, Brophy RH, Chaisson CE, et al. 
Surgery versus physical therapy for a meniscal tear and osteoarthritis. 
N Engl J Med. 2013 May 2;368(18):1675-84. doi: 10.1056/NEJMoa1301408. Epub 2013 Mar 18. (Original) PMID: 23506518


2位
Nidorf SM, Eikelboom JW, Budgeon CA, et al.
Low-dose colchicine for secondary prevention of cardiovascular disease.
J Am Coll Cardiol. 2013 Jan 29;61(4):404-10. doi: 10.1016/j.jacc.2012.10.027. Epub 2012 Dec 19. (Original) PMID: 23265346


3位
Canadian Agency for Drugs and Technologies in Heal.
Antithrombotic agents for the prevention of stroke and systemic embolism in patients with atrial fibrillation.
CADTH. 2013 Mar: 1(1B); 1-142. (Review)


4位
Canadian Agency for Drugs and Technologies in Heal.
Antithrombotic agents for the prevention of stroke and systemic embolism in patients with atrial fibrillation.
CADTH. 2013 Mar: 1(1B); 1-142. (Review)


5位
Perel P, Roberts I, Ker K.
Colloids versus crystalloids for fluid resuscitation in critically ill patients.
Cochrane Database Syst Rev. 2013 Feb 28;2:CD000567. doi: 10.1002/14651858.CD000567.pub6. (Review) PMID: 23450531



あと最近こんなんも届きました。
スペインの論文のようです。
まじかー。


Iglesias B, Ramos F, Serrano B, et al. 
A randomized controlled trial of nurses vs. doctors in the resolution of acute disease of low complexity in primary care.
J Adv Nurs. 2013 Mar 21. doi: 10.1111/jan.12120. (Original) PMID: 23517494

2013年5月4日土曜日

都会での地域医療

S2片岡です.
5月に入り,東京はだいぶ暖かくなってきました.

さて,現在私は台東病院のリハビリ科で研修しています.
これまでほかの先生方からも紹介がありましたが,なかなか興味深い立地にあるので
改めて紹介したいと思います.

できればgoogle mapなどをみながら読んでいただけると,よりわかりやすいです.

まず,病院のすぐ東側にあるのが,江戸時代から続く色町である吉原.
その近くには,簡易宿泊所が並ぶ日本堤があります.

一方,西側を向くと,閑静な住宅地が広がる「谷根千」.

南側には,きっとGWには大賑わいのスカイツリー,そして浅草といった観光地.
非常に多様な地域に囲まれています.

そして,台東病院は23区で唯一の区立病院です(運営を区から協会に委託).
基本的には,台東区に住む方々へ向けて医療を展開しています.

1か月の研修を経て,徐々にそれぞれの地域に住む人々の個性=地域性
が少しずつわかってきました.

たとえば病状説明のしかたや,退院調整,家族とのかかわりの中で,地域性を
とても強く感じます.

東京北のある赤羽もそうでしたが,都会であっても地域に根差した医療は
できるし,また必要とされているんだなぁと改めて感じました.


片岡 義裕

2013年5月1日水曜日

在宅医療にとびこんで1ヶ月・・

地域医療のススメ 修了生の井口真紀子です。みなさまお久しぶりです。

現在私はJADECOMをはなれ、東京都北区の梶原診療所という在宅医療を中心にしている診療所で在宅フェローシップ研修をはじめて、1ヶ月が経過したところです。

東京北社会保険病院とは少し離れますが時々患者さんの紹介などもあるようです。
北区は高齢者の7割が老老介護か独居という状況のようで、高齢化が今ピークを迎えているところ。
東京北社会保険病院の横にある桐ヶ丘団地などは日本最古の団地らしいのですが
高齢化率5割超えているのではという話です。びっくりですね。
梶原診療所のある滝野川地域は入院施設のあるベッドが少なく在宅で頑張る必要があり、毎日のように新規の患者さんが紹介されてきます。困難事例も多いです・・。
認知症や非がん疾患の看取り、都市部では見えにくいコミュニティ作りなど、最初の2週間はレクチャー三昧でこの1ヶ月は新しく知る事だらけでした。

研修スケジュールは月曜日は湯沢に診療に通い、その他の日は訪問診療5コマ、外来3コマ、高齢者ケア外来(認知症外来のようなもの)0.5コマといった感じです。
ススメの研修であらゆる問題に対処する、ことを学んできていたのでスムーズに業務には入れています。

印象に残ったこととしてはALSの患者さんとのかかわりでしょうか。
ALSの人工呼吸器在宅療養の患者さんは初めて担当するのでいろいろな本を読んだりしながら関わっていますが、「ただ存在する意味」というのはもしかして思っていたよりも大きいのかも、と改めて感じています。

湯沢にいた頃、見学にきた医学生さんに
胃瘻寝たきり重度認知症の患者さんの生きている意味がわからない、といわれて、
「なにもしないで存在する、ということに意味があるんじゃないかな」と返答したことがあるのですが、
家族に現実的な負担を多少なりともかけてすら、存在する意味というのを肌で感じて、自分の言葉の意味を自分自身がわかってなかったなと感じさせられて・・
なんだか死生観が揺らいだ1ヶ月でした。

高齢者の終末期には積極的な延命治療はしない方向で関わる事が多かったのですが、こうやっていろいろ揺らいで考えることで結果としてとる選択が同じだったとしても
もう少し深みのある選択ができるのかな、というふうに思います。

認知症、嚥下、非がんの看取りなど、今まで経験値でやってきたことが理論化されたり新たな学びもあり電車通勤にもようやく慣れて、1ヶ月おなかいっぱいという感じです。
また学んだことを機会があればススメにもシェアしていきたいと思いますし、興味のある方は見学も是非。
では皆様ゴールデンウィークたのしんでくださいね!